こんにちは。ともに管理者の藤原です。
介護は始まってしばらく経つと、少しずつ「介護もするのが当たり前」になっていきます。
大きなトラブルはない。
救急搬送が続くわけでもない。
支援も入っている。
それでもご家族は、どこか余裕がなくなっていく。
現場では利用者さまのご家族から、どこにもぶつけられない、小さいけれど見過ごせない苦しさをお聞きすることが少なくありません。
そこで今回は、部長の藤原、訪問介護管理者の赤﨑、ヘルパーの古角の3人で、「介護を担うご家族の、静かな限界」について話しました。
大きな問題はないのに、なぜか余裕がなくなっていく

藤原:今回は「ご家族の限界」について、3人で考えてみたいと思います。実際にご家族からSOSがあったケースでは、現場の報告を見ていても、大きな問題が見当たらないことは多いんです。利用者さまの状態は安定していて、支援も週に何回か入っている。外から見ると、うまく回っているように見えます。
赤﨑:そうなんです。でも実際にお話を聞くと、ご家族はずっと気が張った状態が続いていることが多いですね。何かあればすぐ動けるように、常にアンテナを張っている。だから、明確な出来事がなくても疲労は溜まっていくんです。
古角:「何がしんどいのか分からないけど、なんかしんどい」とおっしゃる方もいます。救急車を呼ぶようなことがあったわけではない。でも小さなミスが増えたり、余裕がなくなったり。ご本人よりも、ご家族のほうが先に限界に近づいていると感じることもあります。
藤原:介護って大きな波ではなく、小さな緊張の積み重ねなんですよね。それが続くと、気づかないうちに余裕がなくなっていく。そこが難しいところだと思います。
支援者が感じる、家族のストレス

藤原:介護に携わる人からは、「大きな出来事が起きる前は、ご家族の空気が変わることがある」と言われることがあります。数値や状態ではなく、なんとなく余裕がなくなっている、という感覚です。
赤﨑:介護は長く続くものですから、どのご家庭でも波はあります。ご家族からの言葉が少なくなったり、表情が硬くなったり。そうした小さな変化は、珍しいことではありません。
古角:頻繁に起きることではないですが、利用者さまとの関わり方が少し変わることもあります。それを良い・悪いで見るのではなく、「少し負担が大きくなっているのかもしれない」と受け止めるようにしています。
赤﨑:「もっとこうしてあげたい」という思いが強いほど、うまくいかないときに自分を責めてしまう方もいます。葛藤自体は自然なものですが、ご家族が苦しいと感じていることが気がかりですよね。
藤原:多くの場合、ご家族は自分の状態を後回しにします。だからこそ、私たちは問題を指摘するのではなく、変化に気づいて共有するという姿勢を大切にしたいと思っています。
赤﨑:支援が入ればすべてが楽になる、というわけではないんですよね。利用料の負担もありますし、他人が家に入ること自体がストレスになることもあります。ひとつひとつは小さくても、積み重なると重みになります。
古角:ヘルパーが一生懸命関わっても、利用者さまが不満を溜め、ご家族にぶつけることがあります。その板挟みで疲れてしまうご家族もいます。支援があるのに楽にならない、という感覚です。
藤原:外から見ると「支援が入っているから大丈夫」と思われがちですが、その中にも別のしんどさがある。そこも含めて理解していく必要がありますね。
限界を迎える前にできる、「段階的な手放し」

赤﨑:介護がご家族の負担になっているからといって、いきなり施設入所、という選択になると、今度は反対に喪失感が大きくなります。在宅の中で、少しずつ第三者に負担してもらう機会を増やしていくことが大切だと感じています。
古角:ケアマネジャーなどから、ショートステイの利用を勧められることもあるかと思いますが、急に必要になってからではなく、余裕のあるうちに慣れておくほうが安心です。「どうしてもこの日は施設に行ってもらわなければならない」、という状況で利用すると、ご本人もご家族もつらい思いをしやすいです。
赤﨑:ロングステイやショートステイで少しでも離れてみると、ご家族の表情が変わることもあります。体力を回復させてから、これからどうするかを考える。そういう時間は必要ですね。
藤原:段階を踏むことで、「やれることはやった」と思える。結果がどうであれ、そのプロセスがご家族を支えるのだと思います。私たちは、ご家族の判断を代わる存在ではありません。ただ、判断を共有する存在ではありたいと思っています。
赤﨑:正解を押し付けるのではなく、その時々で一緒に考える。家族の感情も含めて受け止めることが、支援だと思います。
古角:ご家族の皆さまには、小さな愚痴でもいいので、ヘルパーに話していただけたらと思っています。一人で抱えなくていい、ということを伝えたいです。
藤原:介護は、家族だけでやり切るものではありません。ご家族が抱え込みすぎなくて済むように、私たちはその重さを少しだけ分け合える存在でありたいですね。
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